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骨から芸術へ (4)『ファブリカ』の芸術性

    
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骨から芸術へ (4)『ファブリカ』の芸術性

人体の骨格のつくり(鉛筆) by Nori



不屈の名著『ファブリカ』の美しき解剖図の秘密。


 
前回は、

近代医学の基礎を築いたといわれる
アンドレアス・ヴェサリウスの著書

『ファブリカ』が
 

古い時代を切り開いた様子を
書きました。
 



 

時代を乗り越えて
今に受け継がれている

不朽の名著である『ファブリカ』。
 

その魅力の一つは

美しい解剖図にあります。
 
 

科学者と芸術家のコラボレーション

 
『ファブリカ』の価値は、

その専門書としての
学術的な研究内容だけでなく、
 

美しい解剖図との
結合にある、

と言われています。
 

単なる挿し絵ではない
すぐれた解剖図が

テキストの内容を適切に深め、
 

『ファブリカ』を
芸術という域に高めています。
 

つまり、

『ファブリカ』は
科学書として偉大であるだけでなく、

書籍印刷史上においての傑作
 

と賞されているのは、

素晴らしい木版画の解剖図があるからに
他ならないということです。
 
 

ヴェサリウスの解剖図

 
パリ大学の
解剖学の教授であったヴェサリウスは、

学生たちに分かりやすいようにと
 

解剖図を描いて
講義をしていたそうです。
 

これが非常に好評だったらしいのですが、

学生たちがこれを模写しているうちに
下手な図が広まったため、
 

必要に迫られて

解剖図 6 葉を収めたものを
『ファブリカ』以前にも

出版しているようです。
 

『ファブリカ』の解剖図

 
当時、

医学のテキストに
詳細な図がつくことは

稀なことだったそうです。
 

むしろ
古代には無かった習慣であるとして、

排斥されていたようです。
 

そんな中での『ファブリカ』の刊行は
その財政的な面からも一大事業であって、

その図版の意味も含めて
画期的な仕事でした。
 

そのことを
ヴェサリウス自身も大切に考えていて、

『ファブリカ』のための木版画は
ヴェネチアの工房に依頼しています。
 

しかし、
直接の木版画の作者については
はっきりしていないことが多いようです。
 
 

素晴らしい解剖図と言えば・・・

 
解剖学を初めて学問として体系立てたのは
ヴェサリウスであり、

彼の『ファブリカ』の出版 (1543) が
近代解剖学の幕を開けたわけですが、
 

実はこの20年以上前に
人体の解剖に取り組んだ人がいました。
 

それが、

レオナルド・ダ・ヴィンチです。
(Leonardo da Vinci, 1452-1519)
 

美術と科学的なアプローチを駆使して
真理を追究していた画家であったことがわかります。
 

ルネッサンスにおいては、

レオナルド・ダ・ヴィンチや
ミケランジェロなどをはじめ、
 

画家の側から

人間を正確に描くために
解剖図を描く
 

という試みがなされていました。
 

このような、
ルネッサンス美術の画法や精神が

間接的に
『ファブリカ』の制作に
影響を及ぼしていると考えられているようです。
 

次回は、

『ファブリカ』の内容を
紹介してみたいと思います。






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